歯周病
歯周病とは?

歯周病は、お口の中の細菌によって引き起こされる炎症性疾患です。初期段階では歯肉(歯ぐき)の炎症から始まり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)や歯根膜にまで影響が及びます。多くの方が気づかないうちに進行するのが特徴で、日本人の成人の多くが何らかの歯周病症状を持っているとされています。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が不十分な状態が続くと、そこに細菌が蓄積して歯肉に炎症が生じます。初期の段階では痛みがほとんどなく、気づかないまま進行することが多いのが特徴です。適切な治療を受けないまま進行すると、膿が出たり歯がぐらついたりして、最終的には歯を失う原因となります。
歯を支えている「歯根膜」や「歯槽骨」の仕組みについては、院長の研究知見をもとにしたブログ記事でも詳しく解説しています。
▶ 歯を支える“骨と歯ぐき”はどこから再生するの?
こんな方におすすめ
以下のような症状がある方は、歯周病の検査・治療をご検討ください。
- 歯みがき時に歯ぐきから出血する
- 口臭が気になる、または指摘されたことがある
- 朝起きた時に口の中がネバネバする
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯ぐきが下がり、歯が長く見える感じがする
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった
- 歯がぐらついている感じがする
- 歯並びに変化を感じる
これらの症状が複数当てはまる場合は、歯周病が進行している可能性があります。症状がない場合でも、年に1回は歯科検診を受けることをお勧めします。
進行段階別 歯周病セルフチェックリスト
ご自身の状態がどの段階に近いか、以下のチェックリストで確認してみましょう。複数の段階に当てはまる場合は、より進行した段階の可能性があります。セルフチェックはあくまで目安で、正確な診断には歯周ポケット検査やレントゲン検査が必要です。
段階1:歯肉炎(歯ぐきだけに炎症がある状態)
- 歯みがきのときに、ときどき歯ぐきから血が出る
- 歯ぐきの一部が赤い、またはぷっくり腫れている
- 歯と歯の間の歯ぐきが丸く膨らんでいる
- 痛みはほとんどない
- 朝起きたときに口の中がネバつくことがある
歯周ポケットの目安:3mm程度まで(骨の吸収はなし)
この段階なら、正しいセルフケアと歯石除去で健康な状態に戻すことができます。
段階2:軽度歯周炎(骨が溶け始めた状態)
- 歯みがきのたびに出血する
- 歯ぐきがむずがゆい、または違和感がある
- 冷たいものが歯にしみることがある
- 口臭が気になる、または指摘された
- 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった
歯周ポケットの目安:3〜4mm程度(骨の吸収は歯根の長さの約1/3未満)
自覚症状が少ないため見逃されやすい段階です。早めの基本治療で進行を食い止められます。
段階3:中等度歯周炎(骨の吸収が進んだ状態)
- 歯ぐきを押すと膿が出ることがある
- 歯ぐきが下がり、歯が以前より長く見える
- 硬いものを噛むと歯が浮いたような感じがする
- 歯が少しぐらつく
- 疲れたときや体調不良時に歯ぐきが腫れる
- 口臭が強くなった
歯周ポケットの目安:4〜6mm程度(骨の吸収は歯根の長さの約1/3〜1/2)
基本治療に加えて、状態によっては外科的な歯周治療が必要になることがあります。
段階4:重度歯周炎(歯を失う危険が高い状態)
- 歯が大きくぐらつき、指で押すと動く
- 歯ぐきから頻繁に膿が出る
- 噛むと痛みがあり、食事がしにくい
- 前歯がすき間が空いたり、出っ歯になったりしてきた
- 歯ぐきが大きく下がり、歯の根が見えている
歯周歯ポケットの目安:6mm以上(骨の吸収は歯根の長さの1/2以上)
抜歯が必要になる場合もありますが、外科的治療や再生療法により歯を残せる可能性もあります。できるだけ早くご相談ください。
1つでも当てはまる項目がある方は、一度歯科医院での検査をお勧めします。当院では歯周ポケットの測定とレントゲン検査で、現在の進行度を正確に診断します。
歯周病を放置するとどうなる?
歯周病は痛みが少ないまま進むため、「まだ大丈夫」と様子を見てしまう方が少なくありません。しかし放置すると、次のようなリスクがあります。
- 歯を支える骨が溶け続け、最終的には歯が抜けてしまう
- 1本の歯だけでなく、周囲の歯にも炎症が広がる
- 歯を失った後、インプラントや入れ歯にするための骨が不足し、治療の選択肢が狭まる
- 治療期間が長くなり、通院回数や費用の負担も大きくなる
- 歯周病菌や炎症物質が血管を通じて全身に影響を及ぼす可能性がある(糖尿病の悪化、心臓や血管の病気、誤嚥性肺炎、早産・低体重児出産などとの関連が報告されています)
早い段階で治療を始めるほど、身体の負担も費用も抑えられます。
当院の歯周病治療における特徴
詳細な検査に基づく個別対応
当院では、お一人おひとりの口腔内状態を詳しく検査し、歯周病の進行度に合わせた治療計画を立案します。歯周ポケットの測定や歯の動揺度、レントゲン検査などを通じて現状を正確に把握し、最適な治療方法をご提案します。
予防と再発防止の重視
治療だけでなく、歯周病の予防と再発防止に重点を置いています。正しいブラッシング方法の指導や定期的なメンテナンスを通じて、長期的な口腔健康の維持をサポートします。
総合的なアプローチ
歯周病は口腔内の問題だけでなく、全身の健康とも関わりがあります。当院では口腔内環境の改善とともに、生活習慣の見直しなども含めた総合的なアプローチで歯周病に対応します。
口腔外科の視点を活かした外科的歯周治療
当院は口腔外科を専門とする歯科医師が在籍しているため、基本治療で改善しきれない中等度〜重度の歯周病に対しても、外科的なアプローチを含めた治療をご提案できます。歯を「抜く」前に「残す」ための選択肢を一緒に検討します。
服用中のお薬がある方も安心してご相談ください
骨粗しょう症のお薬や血液をサラサラにするお薬などを服用している方は、歯周外科治療や抜歯の際に注意が必要な場合があります。当院では服用中のお薬を確認したうえで、安全に配慮した治療計画を立てます。
▶ 骨粗しょう症のお薬を飲んでいる方へ
▶ 歯科治療と「おくすりの相互作用」
歯周病治療のメリット
口腔機能の維持・回復
歯周病治療により、歯の支持組織を健康な状態に保ち、咀嚼機能を維持・回復させることができます。これにより、食事の楽しみを長く続けることができます。
審美性の向上
炎症により赤く腫れた歯ぐきが健康なピンク色に戻り、見た目の印象が改善します。また、歯ぐきの後退を防ぐことで、歯が長く見える状態を改善することも期待できます。
口臭の改善
歯周病の原因となる細菌が減少することで、口臭の改善が期待できます。これは社会生活においても大きなメリットとなるでしょう。
全身健康への良い影響
歯周病と全身疾患との関連性が指摘されています。歯周病を治療することで、全身の健康維持にも良い影響を与える可能性があります。
当院の歯周病治療の流れ
1. 初診・検査

詳細な問診と口腔内検査を行い、現在の歯周病の状態を評価します。レントゲン撮影や歯周ポケットの測定などを通じて、治療計画を立案します。
2. 基本治療

歯垢(プラーク)や歯石の除去を行います。具体的には、スケーリング(歯石除去)やルートプレーニング(歯根面の清掃)などを行い、細菌の温床となる環境を改善します。また、正しいブラッシング方法もお伝えします。
3. 再評価

基本治療後、歯周ポケットの深さや炎症の状態を再評価します。状態が改善していれば、定期的なメンテナンスへ移行します。十分な改善が見られない場合は、追加の治療を検討します。
4. 必要に応じた追加治療(外科的歯周治療)

深い歯周ポケットが残る場合や複雑な骨の欠損がある場合には、状態に応じて外科的な歯周治療を検討します。具体的な治療方法は、次の「外科的歯周治療について」をご覧ください。
5. メンテナンス

治療後は定期的な検診とプロフェッショナルクリーニングを行い、歯周病の再発を防止します。個々の状態に応じて適切な間隔でのメンテナンスをお勧めします。
定期的なメンテナンスについては歯のクリーニング・予防歯科のページもご覧ください。
外科的歯周治療について
基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)を行っても4mm以上の深い歯周ポケットが残る場合や、骨の形が複雑に欠けている場合には、歯ぐきの奥の汚れを直接取り除くための外科的治療が必要になることがあります。いずれの治療も局所麻酔下で行い、治療前に十分にご説明したうえで、同意をいただいてから実施します。
フラップ手術
歯ぐきを切開して一時的にめくり、歯の根の表面や歯周ポケットの奥にこびりついた歯石・感染した組織を、目で直接確認しながら取り除く治療です。清掃後は歯ぐきを元の位置に戻して縫合します。器具が届きにくい深い部分まで確実に清掃できるため、歯周ポケットを浅くし、再発しにくい環境をつくることが期待できます。
治療時間の目安:1〜3本程度の範囲で約1時間
抜糸:約1〜2週間後
保険適用:あり
歯周組織再生療法
歯周病によって失われた歯槽骨や歯根膜などの組織の再生を促す治療です。フラップ手術で汚れを取り除いた後、骨の欠損部分に再生を促す薬剤や材料を用います。骨の欠損の形や大きさによって適応が限られるため、事前の検査で適応かどうかを判断します。
- リグロス:歯周組織の再生を促す薬剤(保険適用)
- エムドゲイン:歯の発生に関わるタンパク質を応用した薬剤(自由診療)
- GTR法:特殊な膜で歯ぐきの侵入を防ぎ、骨が再生するスペースを確保する方法(自由診療)
※当院で実施している術式・費用は、診察時に詳しくご案内します。
歯肉移植術(歯ぐきの再建)
下がってしまった歯ぐきを、上あごなどから採取した歯ぐきの組織で補う治療です。歯の根が露出してしみる、見た目が気になるといった場合に検討します。
外科的歯周治療のリスク・副作用
- 術後に腫れ、痛み、内出血が数日〜1週間程度生じることがあります
- 炎症が治まり歯ぐきが引き締まることで、歯ぐきが下がり歯が長く見えることがあります
- 歯の根が露出することで、一時的に知覚過敏が起こることがあります
- 再生療法は、骨の欠損の状態や体質、喫煙習慣などにより、期待した効果が得られない場合があります
- 自由診療の治療は保険適用外となります
外科的歯周治療の多くは口腔外科の技術とも共通しています。当院の口腔外科の取り組みについてはこちらもご覧ください。
歯周病の進行段階と症状
健康な歯肉

- 薄いピンク色で引き締まった歯肉
- 歯と歯の間に歯肉が適度に入り込み、弾力がある
- ブラッシングで出血しない
歯肉炎

- 赤く腫れた歯肉
- 歯と歯の間の歯肉が膨らんでいる
- ブラッシングで出血する
- この段階では適切なケアにより回復可能
軽度歯周炎

- 赤みが増し、歯肉に腫れが見られる
- 歯周ポケット(3〜4mm程度)が形成され、細菌が蓄積
- ブラッシングで出血する
- 歯を支える骨が溶け始める
中等度歯周炎

- 歯周ポケットが4〜6mm程度に深くなる
- ブラッシングで出血や膿が出る場合もある
- 歯を支える骨が徐々に失われる
- 歯がぐらつき始める可能性も
重度歯周炎

- 歯ぐきが大きく後退し、歯が長く見える
- 歯のぐらつきが顕著になる
- 膿が出ることが多い
- 骨の吸収が進行し、最終的には歯の喪失につながる可能性がある
歯周病予防のセルフケア
正しいブラッシング方法
ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で軽く当て、小さく細かく動かしながら磨きましょう。力を入れすぎないことが重要です。1日1回は時間をかけて(5分程度)丁寧に磨くことをお勧めします。
歯間ブラシやフロスの活用
歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間のケアには、歯間ブラシやフロスが効果的です。
洗口液の活用
歯みがき後に洗口液を併用することで、お口全体の細菌の増殖を抑える効果が期待できます。ただし洗口液は歯みがきの代わりにはならないため、あくまで補助として使いましょう。
▶ 市川の歯科医院がおすすめする洗口液|ワンショット
定期的な歯科検診
自覚症状がなくても、定期的な歯科検診を受けることが歯周病の早期発見・早期治療につながります。
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健康な歯と笑顔を長く保つために、歯周病の予防と早期治療を心がけましょう。お口の健康に関するご質問やご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。JR市川駅北口すぐ、土日祝も診療しています。
記事監修医師
市川おとなこども歯科口腔外科・矯正歯科
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土日祝/18:30まで
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