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骨や歯をつくる細胞はどうやって働いている?
2026/01/30
インプラントや骨再生につながる「骨の研究」のお話
論文の共同著者
市川おとなこども歯科口腔外科・矯正歯科
院長:伊藤慎一郎(口腔外科)
「骨って、どうやって作られているんですか?」
患者さんから、時々こんな質問をいただきます。
実は、骨や歯を支える組織の仕組みは
🧬遺伝子レベルの研究🧬 によって、少しずつ明らかになってきています。
今回は、
🦴骨をつくる細胞
🦷歯を支える細胞
の働きを調べるための、私たちの研究をご紹介します。
骨や歯の研究で使われる
「Cre/loxP(クレ・ロックス)」という技術
骨や歯の細胞が「いつ・どこで・どんな働きをしているのか」を調べるために、
Cre/loxPシステムという遺伝子操作の方法が使われています。
簡単に言うと、
- 👉 特定の細胞だけで
- 👉 特定の遺伝子を働かせたり止めたりできる
研究技術です。
この技術が正確に働くかどうかは、
「どの細胞でCreが発現するか」がとても重要になります。
今回の研究で行ったこと
私たちは、
🦴骨をつくる細胞(骨芽細胞・骨細胞)
🦷歯をつくる細胞(象牙芽細胞)
🦷歯を支える細胞(歯根膜細胞)
で、正確に遺伝子操作ができるマウス🐁を新しく作製しました。
ポイントは、
🧬 Dmp1 という「骨や歯に関わる遺伝子」に
🧬 T2A という仕組みを組み合わせたことです。
この方法により、
- 本来のDmp1の働きを失わず
- 同時にCreを発現させる
ことが可能になりました。
このマウス🐭で分かったこと
研究の結果、
- ✔ 骨芽細胞・骨細胞で強くCreが働く
- ✔ 歯をつくる細胞や歯根膜でもCreが発現する
- ✔ 通常のDmp1欠損マウスで見られるような骨の異常が起こらない
ことが確認されました。
つまり、
- 👉 「骨や歯を正常に保ったまま」
- 👉 特定の遺伝子だけを調べられる
非常に優れた研究モデルであることが分かりました。
この研究は、将来の歯科医療にどうつながる?
一見すると難しい基礎研究ですが、
実は私たちの臨床と深く関係しています。
例えば、
- 骨がなぜ痩せるのか
- 骨がなぜ再生するのか
- インプラントが長持ちする骨と、しない骨の違い
- 歯周病で骨が失われる仕組み
こうした疑問はすべて、
🦴「骨や歯の細胞がどう働いているか」
を理解することで解決に近づきます。
この研究は、
- 👉 骨再生
- 👉 インプラント治療
- 👉 歯周病治療
の“土台”になる研究です。
一般歯科と口腔外科の違い
一般歯科では「今ある症状」を治すことが中心になります。
一方、口腔外科では、
- 骨の性質
- 骨が治る力
- 将来のインプラントや再建
まで見据えて治療を考えます。
このような研究を行っているのは、
骨と歯の本質を理解した医療を行うためです。
院長からのメッセージ
骨や歯の治療は、
「見えている部分」だけでは判断できません。
私は本研究に、
骨や歯をつくる細胞の働きを解明する
論文の共同著者として関わってきました。
研究で得られた知識を、
論文の中だけで終わらせるのではなく、
- ✔ 抜歯
- ✔ インプラント
- ✔ 骨再生治療
- ✔ 歯周病治療
といった日常診療に還元することを大切にしています。
骨や歯の治療に不安がある方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
今回ご紹介した共同著者の論文:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37036533/
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