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虫歯が深くなると歯の中では何が起きている?

2026/01/08

口腔外科の研究からわかった「歯髄の再生力」と歯を守る治療

市川おとなこども歯科口腔外科・矯正歯科
口腔外科医/共著論文著者

虫歯が進行すると「歯の神経」はどうなる?

虫歯が深くなると、歯の中にある歯髄(しずい:神経や血管のある組織)に炎症が起こります。

多くの方が
「神経を取るしかない」
と思われがちですが、実は歯の中には
👉 再生しようとする力
が備わっていることが、研究でわかってきました。

この論文でわかった重要なポイント

「神経の細胞が失われること自体が、再生のスイッチになる」

本論文では、

虫歯や外傷などで
象牙芽細胞(歯を作る細胞)が死んだとき
歯の中の「細胞密集層(Cell-rich zone)」にある細胞が新たな象牙芽細胞様細胞へ変化し、修復象牙質(歯を守る新しい象牙質)を作る
という現象が、詳しく解析されています。

つまり、歯は「傷ついたら終わり」ではなく、
条件が整えば、自分を守る修復反応を起こす、ということです。

なぜこれは虫歯治療で重要なのか?

この研究が示す臨床的な意味はとても大きいです。

  • むやみに神経を取らない判断
  • 歯髄を守る処置(覆髄・MTAなど)の意義
  • 「削りすぎない」治療の重要性

神経を完全に取ってしまえば、歯の再生能力は失われます。

だからこそ、歯髄が生きているかどうかを正確に診断すること
が、歯を長持ちさせる最大のポイントになります。

口腔外科だからできる「歯髄の診断」

歯髄の状態は、痛みの出方、レントゲン、虫歯の深さ、出血や歯髄の反応を総合的に判断する必要があります。

当院では、
歯髄が再生可能か・保存できるかを口腔外科的な視点で見極めます。

これは、歯髄・象牙芽細胞の再生メカニズムを研究レベルで理解しているからこそ可能です。

🦷 歯を失わないことは、将来のインプラント予防につながる

一見、歯髄の話とインプラントは関係なさそうに思えます。

しかし実は――神経を取った歯は
→ 割れやすくなる
→ 抜歯のリスクが上がる

抜歯になると
→ 骨が痩せる
→ インプラントや義歯が必要になる

つまり、歯髄を守る治療=将来インプラントを避ける治療でもあるのです。

一般歯科と口腔外科の違い(ここが差別化)

一般的な虫歯治療口腔外科的視点
痛ければ神経を取る歯髄が再生可能かを評価
今の症状重視歯の寿命・将来重視
その歯単体で考える抜歯・骨・インプラントまで想定

この論文の知見は、
「歯を残すための判断力」を裏付けています。

院長メッセージ

虫歯治療は、ただ削って詰めるだけではありません。
歯の中で何が起きているかを理解し、
歯が持つ再生力を活かすことが大切です。

それが、歯を長く使うことにつながります。

出典(論文):伊藤 論文4英語.pdf

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